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2023年12月01日

大石林山:国指定天然記念物  ケナガネズミの生息を確認

ケナガネズミは、沖縄島では、北部「ヤンバル」に生息し、国の天然記念物に指定されています。
頭胴長およそ25㌢で、全身長い毛におおわれ、尾の先端部分が白いのが特徴です。

この種は、沖縄島南部や宮古島の2~3万年前の地層からも化石が出土し、かつて大陸との陸橋を経て琉球列島に渡来し広く分布していたことが分かっています。


大石林山:国指定天然記念物  ケナガネズミの生息を確認
沖縄南部の地層から発見された2万年前のケナガネズミの左下顎骨の化石(筆者採取)

ケナガネズミやヤンバルクイナなど地史と深い関わりのある生きものたちが現存することにより、「ヤンバル」は2021年7月世界自然遺産に登録されました。
大石林山では、2018年5月に遊歩道の安全柵で体を休めていたヤンバルクイナが撮影され生息を確認することができました。

今回のケナガネズミについては、かつて目撃情報はありましたが確認はできませんでした。
今年の6月に展望用のデッキで撮影されていながらはっきりとは確認ができなかったのです。

大石林山:国指定天然記念物  ケナガネズミの生息を確認
6月に撮影されたケナガネズミ

しかし、8月のはじめには長引いた台風の余波の残る中、建物の軒先に一時避難してきたらしいケナガネズミを職員が発見し、撮影することができました。
この森に生息していることが確認できた証拠です。


大石林山:国指定天然記念物  ケナガネズミの生息を確認
8月に撮影された愛くるしい姿のケナガネズミ

大石林山が世界自然遺産指定の地域外と判断されたのは残念なことでしたが、「ヤンバル」の世界自然遺産に指定された地域と同じような環境であることが判明したのです。
今年はケナガネズミが交通事故で最多の被害があったという新聞報道がありました。(琉球新報、沖縄タイムス11月29日付) 

このことに鑑み、これらの生きものを育む大石林山は、現在観光施設として厳重な保護管理のもとで運営しておりますので、将来もこの地が生きものの最後の生息地となるだろうと思っています。

ヤンバルクイナの撮影者:大谷 勉氏(高田爬虫類研究所室長)
ケナガネズミの撮影者:遠藤裕樹(大石林山職員)と他一人の職員

(文責:博物館名誉館長 大城逸朗)


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Posted by 大石林山 at 16:42│Comments(0)生き物の話題
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