フルーツバット

大石林山

2019年11月14日 13:48

営業終了後に園内を散策すると、昼間は見られない色々な生きものに出会うことができます。



ある日、バリアフリーコースを歩いていると近くの木でバサバサと大きな物音が。
ライトを向けると、黒っぽい毛だらけの生き物がいました。






彼(彼女かも)の名はオリイオオコウモリ
南西諸島に分布するクビワオオコウモリの亜種で、沖縄島周辺にだけ生息する固有亜種です。

野生生物は警戒心が強いのでこんなに近くで観察できるのは珍しいです。




大きな目でとても愛らしい顔をしています。



コウモリといえば「飛んでいる虫を超音波で見つけて食べている」イメージですが、彼らは植物の果実を好んで食べます。そのため英語では「フルーツバット」と呼ばれています。
写真に写っているのもオオバイヌビワというイチジクの仲間の木で、その果実を食べているところでした。

食べたあとはフンの中の種が遠くに運ばれるので、植物の繁栄にも一役買っています。
オリイオオコウモリは食べた木から2km弱も離れた場所まで種を運ぶことがあるそうで、特にガジュマルやイヌビワなどの分布の広がりに大きく貢献しているようです(*)。

植物は美味しい実をつけ、コウモリが種を運ぶ、自然界のシステムは持ちつ持たれつでできていて面白いですね。


*参考:Ecological Research

(博物館・服部)

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