地底ののぞき穴―洞穴調査②
大石林山は、一歩踏み込むと外から見た形とは裏腹に全くの別世界である。山の崩壊を思わせる石灰岩の巨岩礫が迫り、地球創世のころのダイナミックな動きを、誰もが容易に想像できる光景が続く。さらに陸となって永い時間の経過で石灰岩のつくる針の山。まさに広大な砂漠の砂山を這い回る小さな蟻のような気持ちにさせてくれる。
洞穴調査2回目。前回は悪天候の中10個ほどの洞穴を確認。今回は15個ほどであったが、いずれも井戸のようなたて穴であった。付加体となって隆起した大石林山には、想像をはるかに超える力が働いたようである。
理由は、地層にできた方向性のある無数の亀裂の存在である。地層をつくる石灰岩は、2億年余を経過する中、新生代のスポンジのような琉球石灰岩とは異なり、「自ら溶けては固まる」という再結晶作用を被り、透水性が悪い。石灰岩層への表層水の染み込みが悪いことと、急速な土地の隆起がよこ穴の形成を阻んだと推測する。洞穴を含む亀裂の延びている方向を調べると、
① 表層水は亀裂に直接流れ込み、周辺岩盤を浸食して発達したタイプ(写真4)、
② ある亀裂に対して、地かく変動に伴う力が加わり、×印を描くように他の亀裂が加わって、その交点が水の吸い込み口となり発達したタイプである。(写真5)
しかしいずれも表層水が亀裂へ直接流れ込みできた洞穴で、鍾乳石類の発達も悪い。(写真6)
今回は、洞穴の位置確認と形成要因の調査が主であったが、今後は、いよいよ地底の堆積物の調査がメインとなろう。絶滅動物の化石が得られたという情報を得ているので、次回が楽しみである。やはり大石林山は面白い山だ。トキワガキやアマミアラガシ等の木々の吐き出す酸素を吸いながら、岩々を見るのも楽しいものである。(写真7)
(文責 名誉館長 大城逸朗)
写真4:亀裂に沿ってできたたて穴
写真5:手前側と横方向の亀裂の交点にできたたて穴
写真6:洞壁の右側に若干の鍾乳石が発達するが、一般に発達は極めて悪い
写真7:(遊び岩) かくれんぼを楽しむ子ら二人
関連記事