てぃーだブログ › 大石林山 山だより

2024年08月16日

ペルセウス座流星群2024 伊是名島からやんばるを望む

8月12日、ペルセウス座流星群が極大を迎えました。
今年は極大の時刻が23時と夜間に当たり、月もそれぐらいで沈んでくれるので絶好のコンディション。

このあたりでは11/12日、12/13日はよく晴れたので、楽しめた方が多かったのではないでしょうか。
13/14日ははじめ晴れていましたが、夜半頃から雲が多くなりました。




自宅のビデオ観測では12/13日の午前2時台が63個と最も多く流れていたようです。



7月下旬に別の流星群「みずがめ座δ南流星群」「やぎ座α流星群」があったので、それも狙いつつ7月28日から撮影を始めました。
上記の流星群に混じって、ペルセウス座流星群の明るい流星もコンスタントに撮れていました。



7月29日0時58分


8月4日1時34分


8月8日4時07分


8月9日4時26分



極大本番は海の向こう、伊是名島(いぜなじま)に渡りました。



「城山(ぐすくやま)」あるいは「ピラミッド」と呼ばれている場所です。

宿の食堂に絵が飾られていたり、お土産のクッキーのパッケージにもなっていたりしたので、島では特に象徴的な景観なのでしょう。
きれいな屋根付きの展望台が整備されていました。




右奥には大石林山ややんばるの山並みが視認できます。

ここ伊是名島と国頭村には繋がりがあります。

伊是名島で生まれ育った尚円金丸は島で迫害を受け、妻と弟を連れて対岸の国頭村宜名真に逃げ渡り、さらに同村奥間に移り住みます。
その後紆余曲折あり、第二尚氏の開祖として国王の座につきます。



さて、一旦宿に戻って夕食を済ませ、いよいよ撮影本番に入っていきます。



8月12日21時05分

早い時間帯は突入する角度が浅いので経路が長いものが多いです。流れるたびに「シューッ」という音が聞こえてきそうでした。

まだ月明かりがあり、地上の風景がハッキリと見えています。やんばるの山並みや明かりも辛うじて確認できます。



23時35分

月が沈んで、本格的な天体ショーの幕開けです。

対岸の辺戸岬はたくさんの歓声で沸いていたことでしょう。
こちらの展望台には私しかおらず貸し切り状態。聞こえてくるのはオキナワマツムシの声と波の音だけ。



2時19分

山の上に木星(明るい星)と火星(そのすぐ上)が並んで昇ってきました。2つの惑星は15日に最接近を迎えました。
その上には若い星の集まり、昴(スバル)があります。



4時41分

今回一番の大物、マイナス6等級の火球がちょうどオリオンの位置に流れました。
この火球は肉眼でもしっかり見ていて、文字通り目の覚めるような一閃でした。

それとは別で山のあたり、右上に向かってモヤッと明るくなっているのがわかりますでしょうか?
これは黄道光(こうどうこう)といって、太陽系内に円盤状に存在しているチリ(砂や小石のようなもの)が太陽光を受けて光っているものです。上に見えている木星や火星も、そしてこの地球も同じ円盤の中にいます。
時折、これらのチリが地球に飛び込んできて流星になることもあります。



8月13日5時10分

明け方、感度を落として撮影した物です。薄明の微妙な色合いが幻想的で気に入っている一枚です。
(ここには流星は写っていません)








今回は夜間の撮影が主だったのであまり観光できませんでしたが、次回はゆっくり島内を観て回りたいと思います。



<追伸>
この日撮った写真をタイムラプスに編集してアップしました。ぜひ1080pでご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=UuFi3-xveqk




(大石林山・服部)  


Posted by 大石林山 at 10:16Comments(0)自然の話題

2024年07月30日

令和6年度山の日企画 「おきなわ民話劇」 を開催!

沖縄には古くから伝わる昔話(民話)が数多くあります。数で言うと、7万6000話余もあるそうです。(ちなみに日本本土では約6万話)

そんな数多くあるなかには、大石林山がある「アシムイ御嶽」に関するお話や、沖縄本島北部に関するお話もあります。
大男のお話や、大宜味村に実際にある山の神様のお話、島の取り合いのお話などなど…
今回はそんな昔話を「お話劇」という形で紹介します。

お話劇を演じてくださるのは、名護市を中心に沖縄民話の普及活動を行っている「やんばる民話の会」の皆様です。
方言も交えながら楽しくお話してくれるので、昔話に聞き馴染みのない方や初めての方でも楽しめる内容となっております。

また、当日は山の日ともなっておりますので、この機会にぜひ大石林山にお越しください。

日時 8月11日(日) 13時開演
場所 大石林山 本館2階 多目的ホール
料金 観覧無料




(大石林山 新城)
  


Posted by 大石林山 at 15:43Comments(0)イベント

2024年07月16日

第12回ミニ企画展 大石林山「You(ゆー)は、どうして石になったのか」を開催しています。



地層を調べていたら、石のようになった動物の骨を見つけました。地層は今から2万年前、骨はシカの大腿骨であることが分りました。

骨が石のようになる、つまり石に化けたものということに由来した言葉が「化石」です。地球のことを学ぶ学問の一つ「古生物学」によると、例えば動物の骨が1個見つかれば、かつてはその地域にはその種類の動物が数百も数万もいたという考え方があります。

そのことからすると、かつての沖縄には蟻の群のごとく数万頭のシカ類が生息していたことが分ります。

動物の骨や貝などが、どのようにして死んで、石になって残ったのだろうか。・・・不思議には思いませんか。

調べてみると、「昔の生きものが死んで川や湖・海などの環境のもとで、砂や泥などの堆積物に埋もれる。埋もれたものは、堆積物や地下水に含まれる鉱物と入れかわって石のようになる。それが土地の動きや風化などを受けて地表にでたもの」が「化石」だと分かりました。

今回は、地球のいろいろな地質年代の化石を紹介します。三葉虫、アンモナイト、古代魚、トカゲ、カブトガニ、リクガメ、エビ、トンボ、そして貝など様々な種類があります。

土砂に埋まる寸前のビックリした姿の三葉虫、そんなはずではなかったという姿の水棲のトカゲなど、展示された化石をご覧になり、「どうして石になったのだろう?」などと考えながら「山のコース」散策などは如何でしょうか。








(博物館名誉館長 大城逸朗)  


Posted by 大石林山 at 09:37Comments(0)博物館

2024年06月26日

カジノキの実に集まる虫たち

この時期、山ではカジノキの果実がたわわに実っています。
この実は人が食べることもできて、甘くて美味しいです。



昼間はただ実がなっているだけなのですが、夜になると色々な虫が集まってきます。



オオシラホシアシブトクチバの線が濃いタイプと、右はチャバネアオカメムシ。



大きな蛾、オオトモエです。
本土にもいますが、沖縄のものは白い線が細かったりします。



シロスジヒトリモドキが複数いました。



ナタモンアシブトクチバ、鉈(ナタ)のような模様が特徴的です。



ヒトテンアカスジコケガ、小さいですが綺麗な蛾です。



地面に落ちた実にも虫たちが寄ってきます。



オオルリオビクチバ、大型の蛾で後翅の瑠璃色が目立ちます。



ヤエナミクチバ、フラッシュを焚くと翅が紫に光って面白いです。



ヒメユリサワガニにも好評のよう。



カジノキの実、あと2週間ぐらいは楽しめるのではと思います。近くで見つけたら、夜何か来ていないかチェックしてみましょう。
運がよければクワガタとかも来てたりしますよ。




(大石林山・服部)  


Posted by 大石林山 at 14:48Comments(0)自然の話題

2024年06月19日

沖縄の南と北に「石の博物館」

「沖縄戦終焉の地」糸満市摩文仁に所在する「平和祈念公園」、その「霊域ゾーン」には、30カ所以上の他府県及び樺太やダバオなどの慰霊の塔があります。去る大戦で亡くなられた府県出身の方々の御霊に、「ふるさとの香り」をという各府県のせめてもの想いが込められた「もの」があります。


沖縄南端の摩文仁の慰霊ゾーン

それは「ふるさとの石」です。慰霊の塔の周辺の壁、床、そして塔やその周辺に、実に様々な石が使用されています。
黒くゴツゴツとした石や研磨された石、また各府県の各地域を代表する石など、いずれも沖縄では目にし難い石ばかりです。

例えば研磨された数種類のみかげ石(花崗岩)、火山地域の溶岩や凝灰岩、緑色の美しい変成岩類、さらには暗緑色の模様がヘビの皮のように見える蛇紋岩など。



蛇紋岩の巨岩、なかなか見らない岩石です

外国産の石材では、ブルーパール(ノルウェー産)、カポオ・ボニート(ブラジル産)、アラベスカート・コルキア(イタリア産)など、石好きに取っては、「黙して語らず」の石ではなく、「饒舌の石」の世界に引き込まれそうです。児童生徒に取っては、まさに「生きた教材」となります。



一方、沖縄島の北の端、辺戸にも「石の博物館」があります。



沖縄北端の「沖縄石の文化博物館」

大石林山の「沖縄石の文化博物館」です。古くから信仰の対象となってきた「安須森御嶽」のある岩山の一角にあり、県内41市町村の代表的な石を展示した博物館です。我が村や町の石を探しながら、取りあえず「石」について「浅く広く」知ることができます。


博物館展示風景

石の名前や地質年代が標示され、何よりも手で触れ石の感触を堪能でき、「石も全部そろうと美しい」という言葉をいただいています。その他石の民具類があり、人と石の関わりが懐かしく感じられ楽しめる場所となっています。


撮って触ってOKです。



沖縄には、南の端に「石の野外博物館」、北の端に「石の文化博物館」があり、偶然とは言え面白いものです。

(博物館名誉館長 大城逸朗)  
タグ :博物館


Posted by 大石林山 at 14:17Comments(0)博物館

2024年06月05日

国頭村周遊バス運行のお知らせ

6月10日から来年3月31日まで、国頭村を一周するバスが1日4本運行されます。既存の村内バスと併せて、ぜひご利用くださいませ。



・2024年6月10日〜2025年3月31日

・運賃無料

・予約不要

・火曜と木曜、大晦日、元日は運休

となっております。




国頭村交通不便地域における二次交通実証事業について(2024年度) | 国頭村
http://www.vill.kunigami.okinawa.jp/k_keizai/%e5%9b%bd%e9%a0%ad%e6%9d%91%e4%ba%a4%e9%80%9a%e4%b8%8d%e4%be%bf%e5%9c%b0%e5%9f%9f%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e4%ba%8c%e6%ac%a1%e4%ba%a4%e9%80%9a%e5%ae%9f%e8%a8%bc%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%81%ab-3/

国頭村営バス(定期便)
http://www.vill.kunigami.okinawa.jp/access/

国頭村営バス(予約便)
http://www.vill.kunigami.okinawa.jp/access-yoyaku/  


Posted by 大石林山 at 13:38Comments(0)アクセス

2024年06月02日

安須森に笠雲(かさぐも)が出現

空気が湿っていて風が強いとき、山の周りに独特な形の雲が現れることがあります。特に、山の上にできるクバ笠のような形の雲を笠雲(かさぐも)といいます。富士山にできるものが有名ですが、他の山でもできます。

先日5月31日、出先から戻る途中で安須森の上に笠雲が出ているのに気付きました。

国頭村伊地から


謝敷から


宇嘉から


宜名真から


近すぎると滑らかに見えません。
ある程度離れたほうが綺麗に見えるようです。

辺戸岬に回り込んで、裏側から。




左右対称ではなく、下流(北東側)では大きな塊状の雲になっているのがわかります。



他にも、このように本部半島の上で笠雲ができることもあります。

2023年6月18日




2024年5月31日




大気が湿っていて南西から強い風が吹いているときにできるようで、そのような条件は梅雨時期によく起こります。

道の駅許田の海側からが観察・撮影しやすくてオススメです。

梅雨時期に北部に来られる際は安須森や本部半島の上をぜひ気にしてみてください。


(大石林山・服部)  
タグ :笠雲


Posted by 大石林山 at 13:40Comments(0)自然の話題

2024年05月07日

天の川と流れ星 みずがめ座η流星群

5月6日はみずがめ座η(エータ)流星群の極大日でした。
流星物質を撒き散らす母天体は10月のオリオン座流星群と同じハレー彗星と考えられています。

数が増えてくる5月2-3日の夜から撮影に臨みました。


5月3日 2時05分




ど真ん中に明るい流星、火球が飛び込みました。綺麗な金色の光跡です。
しかし狙っていたみずがめ座η群ではありませんでした。


3-4日、4-5日も晴れそうだったので撮影しましたが、残念ながら雲に阻まれ収穫はなく。


5-6日の極大夜は期待通り晴れ間が広がり、みずがめ座η流星群の流星を7個、その他の流星を3個捉えることができました。


5月6日 3時22分




5月6日 3時41分




今度はちゃんとみずがめ座η流星群の流星です。
緑色に写っていますが、これは大気に突入するスピードが速いためです。秒速66kmほどで飛び込んできます。

また、大石林山周辺は人工の光が少なく、とても暗い環境なので、天の川をバッチリ写すことができます。中央のモヤモヤした雲のようなものが天の川です。肉眼では白っぽく見えます。



みずがめ座η流星群はピークがなだらかで、まだ数日間見ることができます。といっても出現は明け方の2時以降。早起きして臨むのがいいかもしれません。

数は明け方ほど多く、最大で1時間に15~20個ほど。1個でも観れたらラッキー、ぐらいのつもりでいましょう。


(大石林山・服部)  
タグ :流星群天文


Posted by 大石林山 at 13:50Comments(0)自然の話題

2024年04月28日

「大石林山いきもの写真展」開催中

大石林山では生物調査やスタッフによる日頃の観察などにより、2024年3月31日時点で合計1353種類の生き物が確認されています。

ヤンバルクイナやノグチゲラなどの天然記念物や、世界でもこの山にしかいないカタツムリ「ヘリトリケマイマイ」なども生息している、とても貴重な環境になっています。

今回は、散策で出会うことが多い生き物たちや、大石林山に生息する貴重な生き物たちをピックアップして写真パネルにて紹介します。






夜になると、昼間休んでいた生き物たちが動き出します。

普段見ることのできない大石林山の一面をお見せします。






特に刺激が強いと思われる写真には目隠しをつけてみました。

どんなものが写っているか気になる方はめくって確かめてみてください。








写真展はGW期間中、有料エリアの研修センターにて行っています。
好評につき、当面の間継続して公開しております。


(大石林山・服部)  


Posted by 大石林山 at 17:48Comments(0)イベント

2024年04月26日

企画展 「輝く自然美―永井榮一盆石コレクション」 開催しています。

当館を訪ねてこられた那覇在住の方から「石も集まると美しいですね。うちの近くの98歳の方が大変な愛石家で、現在は施設にいるが、石を好きな人に差し上げたいという話がありますよ」という情報をいただきました。早速連絡を取り合ったもののご家族が本土在住とのことで、話は途絶えてしまいました。

ところが今年(2024年)の1月末、突然ご老人のご子息の方から博物館へ荷物が届きました。これが今回展示紹介する盆石60点の品々です。お父様の永井榮一様が生前各地を駆け回って収集し、永く愛でてこられた遺品です。「多くの人にご覧いただきたいため」という目的でご寄贈いただきました。

盆石というのは、石に自然の形や風景を想像し思い描く、古い時代から鑑賞された美の一つの形式です。かつて息子が小学生の頃、光輝く小石を見つけ、宝物だと大事に握りしめていた事を思い出しました。道端には母岩からはがれ落ち、不規則な姿や形のまるで迷い子のような石もあります。それらの石に自然の形や風景を、時には動物の姿を想像し思い描く、豊かな感性の方もおられるものです。

今回展示の盆石は、一つ一つ丹念に台座をつくり、よく研磨され管理されています。これらの石は、大きく3種類に分類できます。詳細に調べると、火成岩6点、変成岩5点、堆積岩42点、他に鉱物7点です。さらに石の名前を知りたいという向学ある方々のために岩石名を付してあります。活用して頂ければ幸いです。

主なものとしては、火成岩では沖縄では得がたい斑レイ岩、変成岩では赤鉄鉱質片岩(赤石)や破砕礫岩、堆積岩では南大東島のレインボーストーン(虹石)や沖縄南部のニービヌフニ、鉱物では宝石の部類の碧玉(ジャスパー)などがあります。なお、展示期間は、令和6年4月26日(金)~6月30日(日)で、無料です。










(博物館名誉館長 大城逸朗)  

Posted by 大石林山 at 11:44Comments(0)博物館