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2022年09月27日

写真展 「不思議な土地の動きが造った森の美―岩と石」開催中

凪のサンゴ礁の海を左手に楽しみながら国道58号線を北上する。国頭村(くにがみそん)に入り「新与那トンネル」を過ぎたころ、前方に原野に仰向けに寝転んだ顔を思わせる凹凸の山並みが見えてくる。それは涅槃像(ねはんぞう)にも見えるし、アメリカインディアンの姿にも見え面白い。これが大石林山である。一方、北の辺戸岬(へどみさき)側から眺めると、のこぎり状の連山となり、左から右へシノクセ、アフリ、シジャラ、イヘヤと呼ぶ。標高200から250メートルもあり、急崖な地形の連山である。アフリは、天帝(てんてい)の差す傘(かさ)、シジャラは乳房を意味するようである。連山は、古くから「安須森(あしむい)」と呼ばれる信仰の対象になっている。

この連山に科学の目を向けてみよう。そこは今から2億5千万年前、プレート(地球の表面を覆う厚さ100キロメートルの十数個の岩盤のこと)が衝突し、沈み切れなかった海底堆積物をつくる地層の一部が、逆にせり上がってできたところである。これを付加体(ふかたい)と呼んでいる。つまり東シナ海側(西側)から押されて反り返るようにしてできたところである。東側の急な崖がそのことを物語る。連山は、地球のダイナミックな営みを目の当たりにできる所なのだ。

連山をつくる地層は、石灰岩からできている。見た目は堅固だが、水に弱いという、まるで内弁慶(うちべんけい)の様な石である。陸になり1億年以上も雨に晒(さら)され続けると次第に溶け、凹凸の激しい地形をつくる。これをカルスト地形と呼ぶ。飛べない鳥ヤンバルクイナにこの地形の石を細かく見てもらうと、何と「千変万化の世界」だと言う。この様子を写真で紹介したが、やはり興味と向学心のある方は、直に山に踏み込んでもらったほうがよさそうだ。

石灰岩は、水に溶けながら大地のキャンバスに面白い絵を描く。それ以外にも大事なことをしてくれている。「化学的には、空気中の二酸化炭素(にさんかたんそ)を浪費する自然現象」(ウィキペディアより)の働きもしているのだ。つまり森の各コースは、森林浴に最適の地なのである。

今回は、カルスト地形の痕跡を残した岩塊数点とともに、「岩と石」の写真を通して森の美を紹介しています。ご覧頂きたい。

写真展 「不思議な土地の動きが造った森の美―岩と石」開催中
写真展の全景

写真展 「不思議な土地の動きが造った森の美―岩と石」開催中
石灰岩が溶けたり壊れたりしてできた二次堆積物

写真展 「不思議な土地の動きが造った森の美―岩と石」開催中
石灰岩が溶けてできたカルスト地形の痕跡など

 
(文責 名誉館長 大城逸朗)



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Posted by 大石林山 at 17:29│Comments(0)博物館
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