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2023年04月29日

「おいしい空気」を準備しています。

58号線を北上。国頭村佐手を過ぎたあたりで前方を見ると、人の寝姿にも似た異形の山が見える。大石林山だ。

「おいしい空気」を準備しています。
タワーカルストのつくる異形の山

石灰岩の地層が造るタワーカルストである。石灰岩は水に弱く、溶けて人を寄せ付けない顔も見せる。また快い空気を提供する慈悲深い石でもある。我が身を削りながらカルスト地形となり、さらには空気中の炭酸ガスを消費するSDGsの貢献者でもある。

「おいしい空気」を準備しています。
「盆石」のようなカルスト地形

石灰岩は炭酸カルシュームからなる。石灰岩が水に触れると、次のようなことが起こる。雨水は、地上に着く前に空気中の炭酸ガスが溶け込み、炭酸になる。ソーダー水と思えばよい。酸とアルカリは反応してイオン分解する。化学式で示すと、

①降水に空気中の炭酸ガス、さらに土壌や腐食動植物の遺体からの炭酸ガスが溶け、弱酸性の炭酸(H₂CO₃) になる。
   H₂O+CO₂ → H₂CO₃

②炭酸ガスを含んだ水(炭酸)が石灰岩成分(炭酸カルシウム)と反応して岩石を溶かす
   H₂CO₃+CaCO₃ → Ca⁺⁺+ 2HCO₃⁻

つまりイオンに分解するということは、石が「溶ける」ということである。

その結果、炭酸ガスの少ない山となる。一方森の中では、数々の樹木が生きるために光合成を行い、酸素を作り出す。石灰岩の森は、酸素が豊富で、炭酸ガスの少ない最良の環境ということになる。大石林山は、その条件を満たした森である。


「おいしい空気」を準備しています。
歩き始めた森の中のガジュマルたち

ゴーウデンウィークには、この「おいしい空気」を吸いに来たらいかがでしょう。山には4つのコースが設定されています。いずれも多少起伏はあるが、歩くには支障はない。むしろ、ゆっくりと時間をかけて純度の高い空気を吸いたいものだ。

(博物館名誉館長 大城逸朗)


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Posted by 大石林山 at 11:34│Comments(0)自然の話題
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